大阪家庭裁判所 昭和43年(家)6026号 審判 1968年8月20日
申立人 山口好子(仮名)
相手方 山口隆雄(仮名) 外二名
主文
被相続人亡山口長次郎の相続財産たる○○電報電話局、電話番号二一-三〇六一の電話加入権は、申立人の単独取得とする。
理由
(本件申立の要旨)
被相続人亡山口長次郎の相続財産の遺産分割につき大阪家庭裁判所昭和三九年(家イ)第八六二号遺産分割事件として調停が成立したが、上記被相続人所有の○○局二一-三〇六一の電話加入権が上記遺産分割の対象からもれていたので、これの遺産分割を求める。というのである。
(当裁判所の判断)
本件調査の結果によれば、主文掲記の電話は、被相続人亡山口長次郎の所有するものであるが、当裁判所昭和三九年(家イ)第八六二号遺産分割事件の調停調書中には、本件の電話加入権が、遺産分割の対象となつている旨の記載はない。
そこで、以下誰に本件電話加入権を帰属せしめるかについて検討するに、相続人である相手方渡辺美都子、同増田米子両名は、当裁判所に対し本件電話加入権について、自分の持分を放棄し、それを申立人に取得させることを希望し、相手方山口隆雄は当初真意は分割による金員取得の意志はなく、ただ申立人との間のごたごたより、本件においても筋を通すことが相当であるとして、適正な分割を主張していたが、本件電話加入権を申立人が欲しているならば処分しても異議は述べないと述べて、申立人にその権利を帰属せしめることについて承諾している。
さすれば、本件遺産たる電話加入権について、遺産分割として申立人に単独取得させるのが相当である。
よつて、主文のとおり審判する。
(家事審判官 山中紀行)